「じゃじゃ馬娘」から「大統領」へ。
フィリピンの次期大統領の最有力候補に、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(74歳)の長女で、同国南部・ミンダナ島のダバオ市長、サラ・ドゥテルテ氏(40歳)が、にわかに浮上している。
フィリピンでは5月13日、統一国政・地方選挙(中間選挙)が実施され、上下両院議員(上院半数の改選12議席、下院約300議席)や首長らが選出された。
ドゥテルテ大統領の任期前半3年間への信任選挙だったが、3日発表の同大統領の支持率は同政権過去最高の81%に達し、地元メディア速報によると本戦でもドゥテルテ派が圧勝、勢力拡大を果たした。
今後の政権運営に影響を与える上院選には、ドゥテルテ大統領の最側近の特別補佐官、前警察長官らが出馬、当選を果たした。
一方、前回の2016年大統領選で同氏に負けたマヌエル・ロハス前上院議員が、本選挙戦ですでに当選圏外に落ちてしまった。反ドゥテルテ陣営は、アキノ前大統領の甥、バム・アキノ上院議員たった一人だったが、開票の結果、落選が確定した。
選挙戦は、まさしくドゥテルテ陣営の独壇場で、同氏の独裁強権体制が、残り3年の任期後半も維持されることとなった。
今後は、 死刑制度復活や刑事罰適用年齢の引下げ、さらには大統領再選を禁止する現憲法改正に伴う大統領任期延長論などの議論が活発化するだろう。
そのドゥテルテ陣営の“選対部長”として、2月から全国行脚して推薦候補の当選に奔走したのがドゥテルテ大統領の地元、ダバオ市で市長を務める長女サラ氏だ。地盤の薄い地方や各地域有力者の支持を拡大させることに成功した。
本人は「私が大統領を目指すと言えば、早々に表明している有力候補者の先輩政治家らから一番に嫌われる(苦笑)。ダバオ市長の職に専念したい」と煙に巻くが、昨年2月には全国政党「改革党」を結成。
今回の上院選ではマルコス元大統領の長女が属する国民党と協力関係を結び、同氏やエストラーダ元大統領の長男など、有力政治家一族の推薦を引き受けた。改革党からも13人の候補者を擁立。