中国が1949年の建国以来、最大規模の海上軍事パレードを実施したのは、紛れもなく世界の火薬庫、南シナ海だ。
ちょど1年前の2018年4月12日に決行された同パレードには、数十隻の艦艇や航空機、さらには1万人以上の人民解放軍が參加した。
南シナ海を目の前にして、習近平国家主席は「世界最高峰の海軍を保有する重要性が、かつてなく高まっている」と兵士らを鼓舞し、南シナ海や南沙諸島(英語名スプラトリー)の覇権を競う米国や、領有権を争う東南アジアの周辺国を牽制した。
さらに中国は今年2月、米軍が同諸島で「航行の自由作戦」の一環として軍艦2隻を航行させたことに、「中国の許可なしに我領域に侵入した」と反発、「中国の主権を侵害するもの」と非難した。
こうした状況下、4月に入って中国による大量艦船の航行も明らかになった。
フィリピン軍関係者によると、南沙諸島にあるフィリピン実効支配のパグアサ島(フィリピン名、英語名はティトゥ)周辺海域で、今年1月から3月にかけて中国の艦船275隻が航行していたことが、明らかになった。
これを受け、フィリピン政府は3月29日、外交ルートを通じ正式に中国政府に抗議した。4月4日の本コラムでは、その詳細を一報した。
そして同日、フィリピン政府は新たに「パグアサ島に中国が艦船を航行させているのは、国際法下での我が国の主権と管轄権を侵害している」と異例の抗議声明を発表。
5日には、2016年6月の就任以降、対中太陽政策を展開してしきたドゥテルテ大統領が、「パグアサ島に触れるならば、兵士に自爆攻撃を命じる」と珍しく中国を牽制した。
これを受け、日本の大手メディアも7日になって、同島での一連の中国の大量艦船航行とフィリピンの中国に対する抗議行動を伝えた。