親政権性向の「京郷新聞」は、令和時代の幕開けとG20会議が、日韓関係改善の契機になるだろうという点には同意しながらも、そのためには安倍政権が謙虚な態度を示さなければならないと主張した。

「両国は、令和時代の開幕を機に出口を模索する必要がある。来る6月に日本の大阪で開かれるG20首脳会議も関係修復のモメンタムとして活用すべきだ。新しい元号に盛り込まれた平和精神にふさわしく、安倍政権がもう少し謙虚な姿を見せる必要がある。韓国政府も望ましい両国関係の未来のため、非常な努力を傾けなければならない。(京郷新聞・社説『新しい「日王」即位、未来志向的な韓日関係出発点になるように』の一部抜粋)

「天皇は謝罪すべき」から「謝意」表明へ転換

 同じく親政権性向の「ハンギョレ」は、『日本、令和時代の幕開け、北東アジアの平和・協力のきっかけに』という社説を通じて、「安倍政権が推進している右傾化が、周辺国との葛藤を増幅させ、北東アジア情勢をさらに不安にさせている」と批判した。そして、新しい天皇には安倍政権の試みに歯止めをかける求心点の役割を期待するとし、「令和時代の開幕をきっかけに、日本が北東アジアの善隣関係と平和に寄与する道に進むことを望む」と、日本に対いて厳しく忠告した。

「中道」に分類される「韓国日報」も、『30年ぶりの「日王」交代、平和主義ㆍ韓日友好を一新する契機に』という社説で、日韓関係改善に対する期待を表した。特に「新しい日王には、日本政府を積極的に牽制する役割をしてもらいたい」とし、日韓関係改善のために徳仁新天皇または明仁退位天皇の訪韓を推進してみるべきだという独創的な主張を繰り広げた。

 ちなみに、韓国メディアは「天皇」を「日王」と呼んでいる。英語では天皇は「エンペラー」だが、韓国メディアはあえてその呼称を避け、天皇は「日本のキングでしかない」ということで、「日王」を使っている。

 ただ注目してほしいのは、韓国のメディアが「令和」への移行を機に、日韓関係の改善を望む主張を展開しているという点だ。このムードに対して、文在寅政権も一つのシグナルを発信した。

 韓国外交部は、文在寅大統領が4月30日に退位する明仁天皇に謝意を表明する書簡を送ったと、発表した。外交部はまた、「(韓国)政府は徳仁天皇の即位を祝い、今後も韓日関係が未来志向的に発展していくことを期待する」と付け加えた。

文大統領、マレーシアでインドネシア語のあいさつ 韓国外相が謝罪

退位する明仁天皇に謝意を表明する書簡を送った文在寅大統領(2019年3月13日撮影)。(c)MOHD RASFAN / AFP〔AFPBB News

 さらに李洛淵(イ・ナクヨン)総理も、海外歴訪に先立ち、自分のSNSに日本の令和時代の開幕を祝うメッセージを投稿した。

「日本、5月1日から令和時代。韓日関係を重んじた明仁天皇様に感謝いたします。即位する徳仁天皇様は、昨年3月、ブラジリアの水フォーラムでお会いし、かなり深い言葉を交わしていただき、ありがとうございます」

 文大統領や外交部は、韓国人が使う「日王」の代わり、「天皇」という呼称を使った。李総理に至っては「天皇様」だ。

 これに、一部の韓国メディアが敏感に反応した。天皇の呼称問題で、「ネット上で炎上していると」といちゃもんをつけたのだ。

 すると即日、韓国外交部の報道官は「天皇は(韓国)政府が過去から使っている呼称」と言い切ってみせた。大統領府の報道官も繰り返される韓国メディアの呼称確認に対し、「外交慣例上、『天皇』という表現を使っていて、他の国もそうしている」と強調したのだ。

 この対応について「朝鮮日報」は、「文政権が韓日関係の改善を模索しているのではないかとの観測も出ている」と解釈している。