想い出してほしい。今年2月8日、韓国の国家序列2位と言われる文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は、米国メディアとのインタビューで、明仁天皇を「日王」「戦争主犯の息子」と呼び、「慰安婦に謝罪すべき」と主張した。この発言に対して日本政府が強く抗議したが、外交部をはじめとする文在寅政権はむしろ文氏の発言をかばった。韓国メディアも文氏の発言に積極的に同感を示した。
ところが、それから2カ月ちょっとで、文在寅政権と韓国メディアの態度は手の平を返すように変わってしまったわけだ。ここには、経済問題や北朝鮮問題、そして米韓同盟までもがうまくいかなくなり、支持率が急落している文在寅政権の危機意識が働いたものと見られる。韓国メディアも、尋常でない経済低迷の中で、日韓関係の悪化が韓国経済をさらに悪化させかねないという危機感で、日韓関係改善について積極的に声を出していると思われる。
理由はともかく、平成の最後の日、文在寅政権と韓国メディアは、日本へ「一歩だけ」寄り添い始めたのだ。
文政権の「歩み寄り」を台無しにする韓国世論
だが、これらのせっかくの努力も、韓国国民が爆発させた反日感情によって台無しになりかけている。
30日の夜、女性アイドルグループ「TWICE」の日本人メンバーであるサナが自分のSNSに、「#平成さよなら #令和よろしく」というハッシュタグで、日本のお代替わりに対する気持ちをアップした。何の変哲のない発言だったが、すぐに大炎上してしまったのだ。
5月1日午前10時現在、ネイバーニュースサイトで彼女のSNSを紹介した記事には、「腹が立つ」という意見が1万件ほどもあった。コメント欄には「日本に帰れ!」「さすが戦犯国出身らしい」「チョッパリ」などの険悪な内容が6000件以上も寄せられる事態となっている。
せっかく、文政権が日本へと寄り添おうという姿勢を見せ始めた途端、韓国国民は自ら反日感情を爆発させ、そのムードをぶち壊してしまった。文政権や韓国メディアがこれまで国民の反日感情を都合よく刺激してきたツケとはいえ、両国の関係改善は一筋縄ではいきそうもない。