東京理科大はJAXA宇宙探査イノベーションハブのもと、キリンや千葉大、竹中工務店と月面農場を想定した閉鎖空間での袋栽培の研究を実施。既に葉物やジャガイモ、トマトを栽培しているという。

ISSのロシア居住棟で、地上から届いたトマトを使ってハンバーガーを作る宇宙飛行士たち。(提供:NASA)

 今までの宇宙飛行は必要なものをすべて持って行った「キャンプ生活」だと向井氏。「でもキャンプだって、持って行ったおにぎりだけじゃなくて、キャンプファイヤーを炊いて肉を焼いたり、周辺で採れた野草を調理して食べたほうが楽しめる。月は半分リサイクルに、火星は完全な自給自足でないと成り立たない。宇宙も地上も資源は限られている。特に日本は自然のリソースが少ない国です。この研究開発は、日本を自立して生きられる国にすること、そして災害時も生活できる防災や国土強靭化にもベクトルが合っている。夢もあるし、ビジネスも広がる分野です」。

スペースフードX参画団体の代表たちが一堂に会した。

 スペースフードX副代表のJAXA菊池優太氏は「宇宙で地産地消する時代が訪れるのではないか。日本が『宇宙の美味しい』を作る。米国とロシア中心に進んできた宇宙開発で日本の食生活の強みを生かしたい」と語った。

 世界で宇宙食をターゲットにしている企業はあまりないという。日本の「美味しい食」が、宇宙と地上の食問題を解決する起爆剤になるかもしれない。