硫黄島に携帯電話が開通したのは2015年でした。携帯事情に詳しい人なら、当然、携帯キャリアはドコモだろうと予想するでしょう。ドコモは、電電公社に源流を持ち、いわゆる人口カバー率だけでなく、携帯の通じない「不感地域」を極力なくすよう努力しています。田舎や山岳地での信頼性では誰しもドコモが一番だと言うでしょう。
ドコモに続いて不感地域の解消に積極的なのはauです。そして、後発なこともあり、人口密集地での速度などを重視する一方で、不感地域をなくすとことについては二の次としてきたのがソフトバンクです。
ところが、硫黄島に携帯電話基地局を設置して最初に携帯を開通させたのはソフトバンクでした。絶対に赤字であるにもかかわらず・・・(現在では他のキャリアも使えます)。
なぜだろうと調べ始めたところ、ソフトバンクがファーウェイと密接な関係を持っていることを知りました。「これは小説のネタとして使えるのでは?」と思ったのが、この件に注目し始めたきっかけでした。
もしもアメリカが指摘するようにファーウェイ製品にバックドアが仕込まれているのだとしたら、硫黄島に勤務する自衛官などから情報を収集しようとしている可能性があるのではないか──。これが、私の疑念だったのです。
バックドアはどこに?
ファーウェイのバックドア問題をネットで検索すると、「ファーウェイの携帯電話に怪しいチップがあった」といった噂とともに、「今売られている携帯自体は安全だ」というような記事も多数ヒットします。その多くは、ファーウェイが発注した記事広告(記事の体裁を装った広告)の可能性がありますが、私はこれが嘘だとも思いません。
ファーウェイがバックドアを仕込む際、その効率、コスト、(ファーウェイにとっての)安全性を考えた際、携帯端末にバックドアを設置するのは最も非効率的だからです。携帯電話を分解することで詳細に調べられますし、ファーウェイ端末が相当のシェアを持たないと、十分な情報を入手することができません。
では、バックドアを仕込むとしたら、どこが最も効率的で安全でしょうか?