中国海軍は、こうして遼寧、001A型空母、それに002型空母から得た経験を、現在建造中の原子力空母に生かそうというわけである。
要するに、中国海軍の空母開発計画にとって当面の最終目標は、アメリカ海軍が運用している原子力空母に肉薄する原子力空母(11万トンクラスと言われている)を手にすることである。実際に中国海軍関係者によると、中国は2035年までには4隻の原子力空母を稼働させるために少なくとも6隻以上の原子力空母を手にするということである。
空母の役割は国ごとに違う
このように中国海軍は自助努力により試行錯誤を重ねながら本格的な航空母艦の建造に力を注いでいるが、そうした状況に対して、とりわけ日本では「アメリカ海軍空母打撃群には追いつけるわけがない」といった声が少なくないようだ。
しかしながら、アメリカ海軍による空母打撃群の運用目的と、中国海軍やイギリス海軍それにインド海軍などによる航空母艦の運用目的は同じではない。いずれの国の海軍においても、それぞれの国独自の国防戦略に基づいた海軍戦略によって、空母や空母艦隊の運用に差異があるのは当然であり、中国海軍が米海軍の空母打撃群をモデルにしなければならない道理は全くないのだ。
この点を誤解すると、中国海軍の空母の真価や脅威を見誤ることになりかねない。その詳細に関しては稿を改めて解説したい。