ここで伴副社長は、「情報を最適な形で表示するディスプレイ」として、8Kや薄型軽量(壁掛け)テレビ、コネクテッドに適した車載ディスプレイなどの製品、VR・AR等の技術を挙げた。
また「情報を生活と調和させるディスプレイ」としては、異形、曲面、フレキスブル等の技術を明示した。
シャープのお家芸・液晶技術を進化させた8Kディスプレイと、韓国勢に独占されている有機ELパネルの二方向からの攻勢を念頭においての発言である。
これをもう少し詳細に説明するため、伴副社長は、「5G・AI社会を生き抜く8つの事業戦略」として、以下のポイントを示した。
1、ビジネスモデルの変革
2、8Kの新たなマーケット展開
3、8K技術を車載、VRにも展開
4、戦略的強化事業:社債とハイエンドPCのビジネスモデルを拡大する
5、進化した液晶ディスプレイを低コスト/高品質で量産化
6、薄型フレキシブルの実現
7、ディスプレイ技術をNonディスプレイに応用
8、更に進化したIGZOを市場投入
「有機ELビジネスの拡大」を宣言
私がここで注目したのは、伴副社長が「薄型フレキシブルの実現のため、有機EL(OLED)のビジネスを拡大する」としたことだった。
先述のように、シャープの事業の大きな軸はやはり「液晶」なのだ。しかし、スマートフォンの主流は、いまや液晶から有機ELに変わりつつある。国内各社がこの冬に投入したスマホの新モデルも、有機ELが大半を占めた。そこで液晶に対するこだわりの強いシャープも、初めて有機ELパネルのスマホを市場に投入したのだ。
といってももちろん「アリバイ作り」のような製品ではない。有機ELパネルの供給については、テレビ向けのサイズは韓国のLG、スマホ向けサイズはサムスン電子が独占してきた。この独占体制に、シャープは自社製造の有機ELパネルを用いた最上位機種を、この12月にぶつけてきた。韓国勢の独占体制に風穴を開けようという試みだ。