「ディズニーのファミリー志向のブランド戦略に“そぐわない”」というもっともらしい理由がつけられているからこそ、なおさらだ。

 実は、20世紀フォックスは、同社冠のテーマパークをアラブ首長国連邦を代表する国際的なコングロマット企業のアル・アハリグループ(AA)(http://alahliholdinggroup.com/)と2015年11月にドバイで開発することで合意。

 テーマパーク「20世紀フォックス・ワールド・ドバイ」はAAグループ所有で、建設費などに8億5000万ドル(約1兆円)をかけ、2020年の開業を目指していた。

 しかし、現地の欧米企業関係者に取材すると、現在「テーマパーク建設は、『無期限の延期』となっているようだ」とのこと。

 日本のメディアでは報道されていないが、ドバイの20世紀フォックスのテーマパークも事実上、中止の公算が高いことが明らかになった。

 ドバイのテーマパークは、AAグループ開発のリゾートホテルを敷設する大規模レジャーランドで、イスラム圏で禁止されているカジノとは無縁だ。

 その中止の理由は「ドバイには、テーマパークなど、すでに多くのレジャー関連施設があり、飽和状態だから」とか。こちらも、説得力のない理由からだ。

 間違いなくディズニー「意向」が影響していることは否めないだろう。

 ディズニーは今年7月末、700億ドルを投じてフォックスのコンテンツ資産の買収を最終的に決定した。

 独占禁止法の問題もあったものの、米司法省はディズニーによる買収を大筋で承認。公に発表されてはいないが、事業買収の手続きは、「2019年の夏までに完了するだろう」(米フォックス関係者)といわれている。