安倍首相、プーチン大統領と会談 平和条約交渉の加速で合意

シンガポールでロシアのウラジーミル・プーチン大統領(中央右)と会談する安倍晋三首相(中央左、2018年11月14日撮影)。(c)Alexey DRUZHININ / SPUTNIK / AFP〔AFPBB News

 23回目の安部晋三首相とロシアのヴラジーミル・プーチン大統領との会談がシンガポールで行われた。

 諸報道で周知の通り、日本側が期待するような結果は今回も得られず、逆に「安倍首相が4島返還の旗を降ろした」「2島返還の際には米軍基地は置かないと約束した」とかでメデイアが賑っている。

 2016年12月の長州会談で2島返還の確約すら取れなかったことで、それ以来の日本の世論は日ロ領土交渉にすっかり冷めたかのようだった。

 それを見据えてか、久々に日露関係がメディアの一面を飾るような、従来から見ればかなり際どい策を首相は採ったことになる。

 もしその報道の通りならば、安倍首相をそのように動かした発端はやはり、9月中旬に行われたヴラジヴォストーク東方経済フォーラム会議場で、プーチン大統領が首相に対して平和条約先行論に言及したことにあるのだろう。

 この大統領発言の真意を巡っては、様々な解釈が各専門家によってなされてきた。数多あれど、その中では朝日新聞・社説担当氏の見解(https://digital.asahi.com/articles/DA3S13709605.html?rm=150)が真相に一番近いように見える。

 あえてこれに加えれば、プーチン大統領が自ら言う「今、ここで思いついた」とは、昔から露側が出していた平和条約(あるいは善隣友好条約)先行論そのものではなく、その場で口に出すということを指したのではないか。

 条約が先行し領土問題はその後で解決、という図式を実績とした当の相手の中国から、習近平・中国国家主席が会議に参加してその場に同席していたのだから。

 日本にとっては全く受けられない話であることは自明の理。

 それを、何もそんなところでわざわざ言わなくたって、である。習主席がこれをどういう思いで聞いていたのかは分からない。