分からないプーチン、もっと分からないトランプ
「考えが浮かびました。平和条約を締結しましょう。今ではなく,年末までに。先決条件はなしです(聴衆の拍手)。聴衆の皆さんのご支持はお願いしていなかったのですが。ご支持ありがとうございます」
これは先日ロシア・ウラジオストクで開催された東方経済フォーラム総会でのウラジーミル・プーチン大統領の発言である。
これに対し先日開催された第73回国連総会で安倍晋三首相は「両国の間に横たわる領土問題を解決し、日露の間に平和条約を結ばなくてはなりません」と日本の外交スタンスが不変であることを明言している。
そしてこの発言を受けてロシア側が強く反応する様子もない。
想像するに、日ロ間の外交チャネルを通じてプーチン大統領の突然の提案(だと筆者は思う)をいかに軌道修正するかが話し合われ、安倍首相発言につながったのではないだろうか。
いずれにせよプーチン大統領の突然の提案がこのまま終息すれば、これは日ロ間の外交チャネルの復元力を示すエピソードとなるだろう。
一方、就任後2年近く経っても一向に分からないのがトランプ政権の対ロ外交だ。
9月14日に米財務省傘下のOFAC(Office-of-Foreign-Assets-Control=外国資産管理局)はロシアのアルミ大手ルサールに対する制裁緩和ともとれる発表をした。
しかし、9月20日にトランプ大統領は「米国の敵対者に対する制裁措置法」の実効性を高める大統領令(Executive Order)13849に署名しており、対ロ外交の方向性が読めない。