米副大統領が中国批判、習主席は「対立に勝者なし」 APEC関連行事で演説

パプアニューギニアの首都ポートモレスビーで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の関連行事「CEOサミット」で、演説を終えて手を振る中国の習近平国家主席(2018年11月17日撮影)。(c)PETER PARKS / AFP〔AFPBB News

 現在までに米中貿易摩擦を巡る両国間の通商協議が4回開催されたが、8月下旬のワシントンでの次官級協議以降、同協議は開催されていない。

 報道によると米中ともに一歩も引かない姿勢を見せており、2018年11月末に予定されている米中首脳会議で大筋合意に達するのは難しいだろうと見られている。

 しかし、これまでの協議の経過をみると双方の思惑も見えてくる。

 来る米中首脳会議で何らかの合意が得られる可能性がある。そこで、本稿では米中貿易戦争の「落としどころ」について考察した。

 以下、初めに今回の中国製品に対する報復関税の根拠である301条の概要を述べ、次に米中貿易摩擦を巡る通商協議の経緯を述べ、次に米中貿易戦争における両国の狙い、最後に来る首脳会議における「落としどころ」について述べる。

1.301条の概要

 通常、米国1974年通商法301~310条を総称して1974年通商法301条と呼ばれる。

(1)制定の経緯

 1962年通商拡大法による大統領への大幅な通商権限委譲により、大幅な関税引き下げによる貿易自由化が推進された。

 一方で、エスケープ・クローズ(緊急輸入制限措置規定)の適用の厳格化など、貿易自由化の原則を貫き、貿易自由化によって生じた被害に対する救済措置をあくまでも例外的なものとする試みが推進された。

 1970年代に入って、米国の貿易収支は悪化の一途を辿り、1971年には20世紀に入って初めての貿易赤字となった。

 そのうえ石油危機による追い打ちもあり、企業や労働組合は議会に対して貿易救済措置の発動要件の緩和を求めるなど、保護主義的な圧力を強めていった。