米露関係は今後若干は緊張緩和の方向に向かうかもしれないが、米国が対露経済制裁を続ける限り、本格的な宥和はなく、中露の連携が続くとみられる。

 東部ウクライナの事実上の侵略を黙認して対露経済制裁を解くことは、ロシアゲート疑惑に晒されている、トランプ政権にはなかなか踏み切れないとみられる。

 当面、米露関係の本格改善は見込まれず、ロシアの北朝鮮に対する軍事面を含めた支援と、経済面での協力関係強化も続くであろう。

 カウンター・バランサーの役割を果たした中国

 中朝関係は、2017年末までは良好ではなかった。金正恩委員長が最高指導者の地位を継承してから約2年後の2013年12月に起きた、親中派と目されていた張成沢の粛清は、金正恩と中国の関係悪化の重大な契機となった。

 中国は、北朝鮮が核やミサイルの実験を頻繁に行い、米国を挑発することも、北朝鮮が北京にも届く核ミサイルを独自に保有することも望んではいなかったと思われる。

 2015年4月中に核実験をしようとした北朝鮮に、中国は、「もし実行したら国境線を封鎖する」と脅して核実験を思いとどまらせたとみられている。

 しかし同年5月の一帯一路国際サミットに招待を受けて参加していた北朝鮮は、サミットの初日にミサイルの発射試験を行い、習近平の面子は丸つぶれにされた。

 2015年10月10日の朝鮮労働党創建70周年記念式典では中国序列5位の劉雲山とパレードの終盤で聴衆に向かって手を取り合うなど親密さをアピールし、金正恩は中朝関係を「血潮で以て結ばれた友好」であるとしてミサイル発射を中止した。

 しかし北朝鮮は2016年1月に「水爆実験」と自称する核実験を実施して再び中朝関係は冷却化した。