なかでも中国は、国力の増大に伴ってグローバルなパワーバランスに大きな変化をもたらし、軍事的動向にも顕著な影響を及ぼしている。
それを念頭に、安倍晋三首相は、改めて国連の場で「自由で開かれたインド太平洋戦略を進める」と述べた。
「私が『自由で開かれたインド太平洋戦略』を言いますのは、まさしくこれらの国々(ASEAN諸国や太平洋島しょ国等)、また米国や豪州、インドなど、思いを共有するすべての国、人々とともに、開かれた、海の恵みを守りたいからです」(カッコは筆者)と訴えた。
この戦略を実効性ある現実的なものに高めるには、日本は、まず自主防衛力を強化することが先決だ。
そのうえで、日米豪印の「4本柱」を中心として、基本的価値や戦略的目標・利害を共有する努めて多くの国・地域を有機的に連結した多国間主義による安全保障ネットワークを構築することである。
この際、日米豪印による「4本柱」を、インド太平洋地域に強い戦略的利害関係をもつ英仏の「2本の支柱」によって補強できれば、安全保障のアーキテクチャーが一段と強化されるのは請け合いである。
そして、日米豪印と英仏によって構築される「4+2」の安全保障協力体制に、台湾やフィリピン、マレーシア、ベトナム、シンガポールなどの力を結集すれば、中国の海洋侵出と世界的覇権拡大の野望を抑え込む、国際的な多国間枠組みを一段と強化・発展させることができるのである。