また2017年はPM2.5の平均濃度が前年比20.5%減の58μgと大幅に減少していますが、実は2017年は「60μg」という目標値が設定されており、その目標値をギリギリで下回る数値であることと、前年比の減少幅が極めて大きいことに、やや作為的なものを感じます。

 それに対して、2018年1~6月の平均濃度は56μgと、2017年通年の58μgと比べると微減にとどまっています。これも2017年に“頑張り過ぎた”反動ではないかと見られます。

明らかにきれいになった上海の空気

 発表されている数値にはやや怪しさを感じるものの、中国の大気汚染が改善しつつあるということ自体は事実でしょう。

 というのも、筆者が生活している上海市では、かつては年に数回しか見られなかった青空を今年は何度も見ることができ、夜には星も見えるようになってきたからです。街を歩いていても、鼻についた車の排気ガスの臭いが最近はしなくなり、目に見えて空気がきれいになっていることが実感できます。

 以前、筆者は中国から日本に一時帰国して日本の空港に降り立つ度に、「空ってこんなに青かったんだ・・・」とか「日本の空気って無味無臭なんだな」などと感じていました(冗談ではありません)。それがここ1~2年くらいは何とも思わなくなりました。日本と上海の空気がそれほど違わなくなってきたということなのでしょう。

青空の中にそびえ立つ上海タワー(中央)

大きな効果をもたらした環境対策車の普及

 では、中国の大気汚染が改善している要因は何か。当局や現地報道では、「鉄鋼などの生産効率の低い工場の閉鎖」「石炭燃料の消費削減」「自動車燃料の品質向上」といった政策の成果を挙げています。