陸上イージスが導入されると、海上自衛隊のイージス艦の負担を軽減し、運用を柔軟にすることが期待される。
日米で共同開発を進めている弾道弾迎撃ミサイルであるSM-3ブロックIIAは広いカバー領域を有し、日本国内の東西2カ所に配備すれば日本全土をカバーできる。この2カ所に配備された陸上イージスはBMDの堅固な土台を構築することになる。
陸上イージスが導入されると、これが1日24時間、1年365日のBMD対処にあたることになる。
イージス艦の負担が格段に軽減され、イージス艦は、BMDだけではなく、本来の艦隊防空(航空機や対艦ミサイルを迎撃する任務)等の任務に従事することができるようになる。
また、訓練の時間を確保でき、乗員の休息、艦艇の保守・整備も可能となる。つまり、我が国防衛態勢に大きな良き影響を与えることになる。
また、米軍と互換性のある装備品を導入することで日米同盟が強化されることも重要な点だ。
●イージス艦に比し陸上イージスは少人数で運用可能
海上自衛隊のイージス護衛艦1隻当たりの乗組員は通常300~310人必要だという。陸上イージスの場合、艦艇を動かすための乗組員を必要としない。
武器システムを操作するための戦闘情報センター(CIC : Combat Information Center)で勤務する要員がいれば用が足りる。
1日12人の3交替で合計36人程度の要員でBMD対処が可能となる*2。
もちろん、システムを操作する要員だけでなく、基地施設の警備・防衛を担当する要員や、食事の用意をはじめとする後方支援業務も必要になる。
しかし、既存の基地や駐屯地に配備すれば、インフラを新たに用意する負担はかなり抑えられるであろう。
*2=井上孝司、陸上型イージスの長所は「12人で動かせること」、日経ビジネスオンライン