次いで、ロフテッド軌道で発射された北朝鮮の弾道ミサイル(例えば火星14)に対する対処能力が大幅に向上する。

 ブロックⅠAではロフテッド軌道のムスダンへの対処は非常に困難であったが、ブロックIIAは高度1000キロ付近でロフテッド軌道で飛翔する弾道ミサイルを迎撃可能になる。

 さらに、陸上イージス(LMSSRとSM3ブロックIIA)、イージス艦、PAC-3の組み合わせで、異種弾道ミサイルの多数同時発射への対応が、状況により100%ではないが可能となる。

 異種弾道ミサイルとは、例えばDF-21と火星14の組み合わせだ。

 現在、異種弾道ミサイルの多数同時飛来する弾道ミサイルへの対処はある程度可能であるが、陸上イージスの導入により、より確実に対応する可能性が出てくる。

●陸上イージスは現在の弾道ミサイル防衛態勢を更に強化する

 現在の弾道ミサイル防衛は、イージス艦のミサイルSM3とPAC-3ミサイルによる2層の防衛体制であり、改善すべき問題はあった。

 例えば、PAC-3は限定された地域をカバーする拠点防衛の装備品であり、狭い範囲の防衛はできるが広域の防衛はできないという欠点を有している。

 また、イージス艦は、1日24時間365日、BMD対処のためにのみ日本海に張りつけていくわけにはいかない。

 東シナ海など中国海軍への対処などの任務にも就かなければいけないし、何よりも乗員の訓練、休息、艦艇の定期的な保守・整備が欠かせない。

 2017年を振り返ると、北朝鮮は多数の弾道ミサイルの発射を行ったが、海自のイージス艦はそれへの対処のために長期間、日本海に張りつけになっていた。そのため、乗組員は休息が不十分で疲労は激しかったと聞いている。