ジ・インターセプトやウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアの報道によると、米グーグルは、中国市場への再参入を検討しているようだ。
グーグルは、現在、中国向けに「検閲版」の検索エンジンをテストしているという。このプロジェクトは社内で「ドラゴンフライ」(「トンボ」の意)と呼ばれており、昨年(2017年)春に始まった。昨年12月に同社のサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が中国当局の上層部と会談を持ったころから、展開が加速したとジ・インターセプトは伝えている。
ただ、ウォールストリート・ジャーナルによると、計画はまだ本格的なものにはなっておらず、中断する可能性もある。もし、中国で検閲を施した検索サービスをグーグルが始めるとなれば、180度の方針転換となり、人権擁護団体や米国の政治家、グーグルの社員などから非難されるだろうと同紙は伝えている。
2010年に中国市場から撤退
グーグルはかつて、中国で検索サービスを提供していた。しかし、同国からの電子メールサービスに対するサイバー攻撃や、当局に強いられた自主検閲が受け入れられないとして、2010年に同国の検索サービスを停止した。
その代替策として、サービスを提供するためのサーバーを特別行政区の香港に移し、香港経由で本土向け検索サービスを開始した。しかし、その後、サービスは断続的に中国本土からアクセスできなくなり、天安門事件から25周年を迎えた2014年半ばに、完全に遮断された。
これによりグーグルは中国で多くのビジネス機会を失った。現在、中国本土では、同社の検索サービス、メールサービスのGmail、アプリ配信のGoogle Play、動画配信のYouTubeなどが利用できない状態になっている。
報道によると、2010年の当時、中国政府の方針に最も批判的だったグーグル幹部の1人は、共同創業者のセルゲイ・ブリン氏。同氏は、創業以来の理念である「世界中の情報を整理し、あまねく提供すること」に反する同国政府の要求に屈することを嫌ったと言われている。