しかし、一方でアジアの国々への関与においては、自国で展開する反汚職、反腐敗方針とは反対に、それらの国々に資金的援助を行うことで、中国にとって都合のいい腐敗政権のアジアのリーダーを育て、維持、温存させてきた。
特に、一帯一路の経済的植民地化政策の下、「中国にとって支配しやすい」「中国にとって都合のいい」国家を増やすことが中国にとって最大のメリットだからだ。
マレーシアにとっても、「キャッシュは王様(cash is king!)」と、ばら撒き戦略により、現金で一票を買ってきたナジブ政権にとって、資金難の中、中国は低融資で数々の一帯一路プロジェクトでお金を貸してくれる良き理解者であり、資金提供者だった。
だからこそ、中国は1MDBの巨額負債を肩代わりし、使い勝手のいいナジブ氏のような国家的リーダーを延命させてきた。
言い換えれば、中国の存在と援助がなければ、ナジブ政権がここまで腐敗することはなかったかもしれない。
マレーシアを負債国家に陥れたのは、資金提供を惜しまず、ナジブ政権の尻拭いを喜んで買って出た中国が“元凶”だったと言えるかもしれない。
(取材・文 末永 恵)