平和に向かっていると言うのは中国の見解だ。よりによって韓国はこの時期に、米韓合同軍事演習(以下、「米韓演習」)は中止しても竹島防衛訓練は実施し、また、慰安婦問題を蒸し返している。
文在寅大統領に代表されるように大多数が親北・左翼になってしまった韓国は、いずれ反日、反米、親中勢力として中国にのみ込まれていくだろう。
10年先を見れば、しぼむトランプ大統領と米国を後目に、核を放棄しない北朝鮮といよいよ軍事的覇権を拡大する中国が合体して、否応なく日本は最前線に立たされることになる。
このまま行けば、より厳しい状況が、早く出現するということだ。
それへの備えと覚悟を訴える論調は日本にはほとんどない。核をも装備した自主防衛議論が出てきてもおかしくないのに皆無である。日本にとって安全保障とは他人事で、米国の責任だと思っているのだろう。
2 合点がいかない会談後の流れ
さて前置きが長くなったが、このたびの米朝首脳会談の流れは実に不可解である。
まず会談の開催をトランプ大統領がキャンセルした時の金正恩の驚きと、面子を重んじる北朝鮮が醜態をさらして会談を懇願したことは実に不可解だ。金正恩にはこの時期トランプ大統領に話さなければならない何か重大なことがあったのだろう。
また、あの厳しい米国の訴訟社会で生き残り、不動産王と言われたトランプ大統領が、あんなスカスカの文章を容認するだろうか。記者会見を独りで実施したが、何を言われても平気で金正恩を持ち上げた。
そして、金正恩は帰国後すぐさま勝利宣言だ。トランプ大統領にとっては、ICBM(大陸間弾道ミサイル)によって自国の安全が脅威に晒される北朝鮮問題は喫緊の課題である。
とても米韓演習を中止するなどあり得ないし、中国を相手に貿易戦争などできるはずもない。なぜなら米国と北朝鮮は水と油ほど考え方が違うことから、いずれ米朝は決裂し軍事行動へと発展することは間違いないだろうと考えるのが普通だ。