北朝鮮のミサイルにすら太刀打ちできない自らを恥じることなく、平和の配当を求め防衛費を削減しようとすることがあるならば自殺行為である。

 いずれにしても、朝鮮半島情勢は一気に流動化し、北朝鮮が米国と中国のどちらに振れようと、中・長期的視点からは日本にとって安全保障上、最も厳しい情勢になることは間違いない。日本は正念場に立たされたのである。

 そして、今年策定される新防衛大綱が手抜きであれば、日本の将来はないだろう。

 日本に求められることは、

(1)本気の対中作戦を考えた「脅威対抗の防衛力」への転換である。

 すなわち、防衛の必要性から、勝てる戦略(共著「日本と中国、もし戦わば」SB新書、中国の潜水艦を含む艦艇を沈め、国土・国民を真に守り切れる装備、態勢、米国を含むインド・アジア・太平洋戦略を提言)と切り札となり、ゲームチェンジャーとなる装備の開発・装備化、そして裏づけとなる十分な予算の配当が必要である。

(2)軍事は最悪に備えることが必要である。このため、アチソンラインが復活することを前提に、南西諸島防衛を手本として五島列島、対馬、隠岐、佐渡島、北海道へ至る防衛線を再構築する必要がある。

 トランプ大統領の、力による平和、力を背景とした外交の効果を理解し、また、日本の力のない外交では北朝鮮すら動かすことができない惨めさを理解したうえで、日本は自らの責任と自覚の下に、敢然と中国に立ち向かう日米同盟へと転換させることが喫緊の課題である。