3 北朝鮮の後ろ盾は中国か、米国か

 このような見立てをしている論調はほとんどないが、何人かの論者が筆者と似た意見を持っているようだ。

 それぞれアプローチと観点は違うかもしれないが、この見方であれば合点がいく。平たく言えば、「米朝は握った」のである。

 その時に問題となるのが、中国の逆襲と北朝鮮内部の反乱である。

 まず、そんな北朝鮮の動きを中国は容認するのだろうか。答えはイエスである。

(1)そのような謀反の兆候を見て、中国は北朝鮮に対して軍事行動を起こさないだろうか。起こせないだろう。

 なぜなら、米国を悪者にしようと平和勢力のように振る舞ってきた中国にとって、米国に先駆けて軍事行動を起こすデメリットは計り知れない。そのうえ、米国の経済制裁のもう1つの意味は、中国に軍事行動を起こさせない匕首だからである。

(2)そもそも中国は北朝鮮を憎悪している。昨年の筆者の中国訪問における要人との対話では、「北朝鮮との同盟は変質した」と述べた。

 さらに、北朝鮮の核兵器は中国にも向けられているのではないかとの問いには「平壌を壊滅しなければならない」と吐き捨てるように語っていた。

 中国にとって核兵器などがない北朝鮮の方がむしろ望ましい姿なのである。核の廃棄を進めながら、米国の朝鮮半島からの撤退に結びつけばもっと有難い。

(3)たとえ北朝鮮が米国の経済支援などを受けても、地続きの中国の方が改革・開放の名の下に経済的な浸透が容易である。

 北朝鮮も改革・開放を隠れ蓑にする可能性がある。まして左傾化し反日・反米になりつつある韓国は御しやすく、習主席の方がトランプ大統領よりも長く政権に居続けられることから、いずれ朝鮮半島は中国の傘下に入るだろう、とほくそ笑んでいることだろう。

 もう1つは北朝鮮の内部の問題である。