韓国の産業界から、7月1日に迫っていた労働時間短縮政策導入に対して不安と反発の声が高まる中で、政府が法施行10日前の時点で異例の「6か月猶予」の方針を打ち出した。
政府がいったん譲歩した形だが、文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権が掲げる目玉政策である労働政策の是非に対する議論はさらに高まっている。
2018年6月20日、韓国の李洛淵(イ・ナギョン=1951年生)首相は、政府与党協議会の席で「労働時間短縮政策を軟着陸させるために産業界の意向を受け入れて6カ月、取り締まりや処罰を猶予する」と述べた。
一律で週52時間労働時間に
問題の、労働時間短縮政策とは何か。
文在寅政権は、経済政策の目玉に、勤労者の待遇改善を掲げている。その1つが、「世界でも最長」と言われる労働時間の短縮政策がある。
このための「労働(韓国では勤労)基準法改正」案が2018年3月に国会を通過し、7月1日付で施行予定だ。
その内容は「週52時間労働」の導入だ。
韓国でも、基準労働時間は「週40時間」で多くの諸外国と変わらなかった。ところが、「時間外労働時間」の基準が独特だった。
改正前の法律での「時間外労働時間」は「12時間まで」だった。「なんだ。それだったら、40時間+12時間=52時間」でこれまでも「週52時間」ではないのか、という指摘が出そうだが、そうではなかった。