金鍾泌(1999年撮影、ウィキペディアより)

 日本でも有名な韓国の政治家である金鍾泌(キム・ジョンピル=1926年生)元首相が、2018年6月23日、死去した。92歳だった。

 劇的な人生を送った故人は、大統領の座には手が届かず「永遠の2人者(ナンバー2)」と呼ばれた。だが、歴代の大統領が退任後、苦難の人生を歩んだの対して、保守・進歩両陣営から「長老」として遇され、平穏な晩年を送った。

 6月23日、金鍾泌氏はソウル市内の自宅で容態が悪化、病院に搬送されたが死去した。老衰だった。

 葬儀には、青瓦台(大統領府)の政務首席秘書官ほか、与野党代表、潘基文(バン・ギムン=1944年生)前国連事務総長、経済界、学界関係者など幅広い弔問客が訪れた。

勲章の授与も決まる

 韓国政府は、最高位の勲章を授与することを決めた。

 90歳を超えても、自宅には、政界関係者が訪れ、様々な助言を仰いでいた。

 どうしてあれほど激しい人生を歩みながらも90歳を超えて元気だったのか。

 筆者は、金鍾泌氏死去のニュースを聞いて、6月半ばに東京で日本経済新聞社が主催したシンポジウム「アジアの未来」に元気な姿を見せて聴衆を驚かせたマレーシアのマハティール首相の姿を思い出した。

 マハティール首相は1925年7月生まれで、1926年1月生まれの金鍾泌氏よりさらに高齢だ。2人とも、建国と国家の経済成長に全力投球し、さらに政敵との対立に一時は一線を退くながらも甦った。

 エネルギー量がそもそも違うのか、「気合」が違うのか。桁違いのパワーを持つ人物という意味で、100歳を迎えた中曽根康弘元首相とも、共通点があるのかもしれない。