しばらく前のことです。地方の関係者から連絡がありスマートフォンで連絡したいというので(私はその頃、日本国内でスマホを使っていませんでした)、ありませんと答えると、何か嬉しかったらしく
「先生ももうすぐ、スマホになりますよ、早く追いついてください」と言う。
「いや、アメリカではウーバー(UBER)呼ぶとか必要があるのでスマートフォンを2つ持っていますが、日本ではシータの撮影用に1つ契約したのを全然使っていないままで・・・」などと答えると、怪訝な表情をされました。
そこで、「スマホ化なんて、日本にとっては何も良いことなかったんですよ。ご存じですか?」と逆に問いかけると、さらにキョトンとした顔をしていました。
ここでも同じようにお訊ねしてみたいと思います。スマートフォンは「スマホ」なんて略されますが、カタカナですよね?
これに対して「ケータイ」はあくまで携帯電話、日本語しか普及しませんでした。ハンディとかモバイルとかセルラーとか、各国に別の表現もあるけれど、横文字大好きの日本で、一貫して「ケータイ」でした。理由があるのですが、ご存じですか?
日本発だったケータイ
理由は簡単で、携帯電話は世界の先陣を切って日本が技術を発達させ、普及にも先鞭をつけたからで、東アジアでは「ケータイ」で通じる地域もあった日本のオリジナルだったわけです。
もう少し具体的に記すなら、2001年「3G」と一般に呼ばれた第3世代携帯電話のサービスが、世界に先駆けて日本で開始されました。
パーソナル・コンピューターとの接続が可能になり、デレビ電話も一般化します。私はその2年前、1999年に東京大学に招聘されましたが、そこで同僚となった坂村健さんと、彼が率いるTronのグループが携帯電話の技術革新には、大きく貢献していました。
一言で言えば、電話とインターネットの境目がなくなった。大きな進展です。そのとば口は日本が切ったものでした。
いわゆるIT革命が終焉した直後の時期、携帯電話は瞬く間に、まず初め東アジア途上地域に広まり、数年で全世界人口に対して携帯電話所持率が50%を超えるという爆発的な普及を見せました。