すなわち自衛隊が新たに導入したアメリカ製兵器の初期訓練を、アメリカにおいてアメリカ軍が指導するという構造が継続され、指導者と生徒の関係(要するに支配・被支配の関係)も継続強化することになる。極論すれば、アメリカ側にとっては使い勝手の良い“属軍”を確保することにもなるのだ。
また、かねてより国防産業こそが最重要基幹産業であるアメリカにとって、日本やドイツが航空機をはじめとする主要兵器を造り出し、アメリカ産業界の“最後の砦”である武器メーカーが圧迫される事態だけは何としてでも避けたい事態である。
もちろんロシアや中国の兵器は国際武器マーケットでは手強い競争相手である。だが、売却相手の棲み分けがなされているため、脅威とはならない。アメリカにとっては日本という新規参入者だけは是が非でもブロックしたいのだ。
本当に“世界最強”の戦闘機なのか?
現時点で米国から42機の空軍仕様F-35Aを購入することになっており、引き続いて海兵隊仕様F-35Bも購入する可能性が高いとなると、日本(とりわけ日本政府や国会)には、ますます純国産の戦闘機を開発する雰囲気が薄れてしまうであろう。
これまで、日本政府はF-1戦闘機、F-2戦闘機(アメリカの強力な干渉があったため純国産とは言えないのだが)と曲がりなりにも国産戦闘機を細々と製造してきた。だが、F-35を積極的に導入する姿勢は、もはや新鋭戦闘機の独自開発は断念する腹ではないかとみなされても仕方がない。