スマホは便利。しかし誰かが不幸になる使い方は防ぎたい(写真はイメージ)

「CSV(共通価値の創造)」という経営の考え方がある。自社のビジネスと社会問題の解決を一体化させ、経済的価値と社会的価値の同時実現を目指すという競争戦略だ。ハーバード大学のマイケル・ポーター教授らによって提唱され、ネスレやキリン、伊東園などが熱心に取り組む経営手法として知られている。

 2016年に設立されたITベンチャー「Momo」(モモ、兵庫県神戸市)も、まさにCSVを実践する企業と言えるだろう。同社が目指すのは社会問題の解決であり、技術と社会のより良い共存である。

 2017年12月20日、同社はIoTを利用して「ながら運転」を防ぐソリューションを発表した。このソリューションを導入すると、ドライバーは運転中にスマートフォンの操作ができなくなる。

 仕組みはこうだ。まず、自動車のハンドルや運転席の下にセンサーを設置する。同時にドライバーのスマホには、基盤が埋め込まれた専用スマホカバーを取り付ける。車内にそのスマホがあることをセンサーが感知すると、車内のビーコンからスマホカバーにBLE(Bluetooth Low Energy)通信で信号が送られる。スマホカバーとスマホ本体はUSBでシリアル接続されており、信号を受け取ったスマホカバーがスマホに、操作を無効にするコマンド(アプリを強制的に閉じるコマンド)を送る。スマホカバーはドライバーには取り外せない構造になっている。

Momoが開発した専用スマホカバーと基盤、センサー類