米アマゾン・ドットコムが、ようやくオーストラリアでeコマース事業を始めた。アマゾンは同国で、2012年にクラウドサービス事業を、2013年に電子書籍の販売事業を開始していたが、これまでオーストラリアの人々は、米国や日本などのように、同国のアマゾンサイトで、電子機器や食品などの買い物ができなかった。
広大な国土と少ない人口
米ブルームバーグの報道によると、オーストラリアのアマゾンサイトには、すでに数百万点の商品が掲載されている。また同社は一部の地域の顧客に向けて、翌日配送サービスも始めている。
今後は、商品カテゴリーを20種類以上に増やし、送料無料の配送サービスも提供する予定だと、アマゾンは説明している。
アマゾンは、世界14カ国でウェブサイトを展開し、180カ国以上に商品を配送するインターネット小売りの世界最大手だ。その同社が、オーストラリアでeコマースを展開していなかったとは、不思議な話だが、ブルームバーグによると、同国における事業展開にはさまざまな課題があったという。
例えば、オーストラリアは米国とほぼ同じ規模の面積を持つ国だが、人口はわずか2400万人。多くが沿岸地域に住むといった人口分布の偏りがあり、主要な人口密集地域は、それぞれ約4000キロメートル離れている。こうした状況では、配送コストが高くなり、アマゾンのビジネスモデルが成り立たない。
しかし、同社は南東部の都市であるメルボルンの近郊に配送センターを建設した。オフィスは、すでに同都市や、首都キャンベラ、シドニー、ブリスベーン、そして、南西部の都市パースに設けている。アマゾンは今後、同国への投資を拡大するとともに、物流ネットワークを拡大していく計画だという。