開発といっても、すべてゼロから始めるのではありません。MaBeeeの電子基板は加速度、温度湿度、重量などさまざまなセンサーを必要に応じて実装できるように、あらかじめ柔軟性を持たせた設計にしてあるので、MaBeeeをベースにすればいいのです。すでに空調ファンの個別制御、震災時の電気ブレーカーの自動遮断、工作機械の監視など、複数のメーカーと新たなIoTデバイスの試作を始めており、年明けの早い時期に発表する見通しの製品もあります。
――玩具向けとして生まれたMaBeeeが、いよいよIoTのプラットフォームとして多様な用途に広がっていく。
岡部 かつての「インテルはいってる」のように、あれにもこれにも「MaBeeeはいってる」と認識してもらえるようになりたいですね。
日本はモノづくりで世界をリードしたけれど、ITでは後れを取ったと言われます。残念ながらIoTも欧米先行です。米国では、多額の資金を得たシリコンバレーの企業が中国・深センの企業と連携し、新しい切り口の製品をどんどん世に送り出そうとしている。気づいたときには「日本企業は取り残されていた」なんてことにもなりかねません。
当社にどこまでできるか分かりませんが、少しでも日本の製造業の力になって、IoT市場で製品の競争力を高める役に立ちたいと思っています。ものの見方や切り口を少し変えるだけで、すごくたくさんのビジネスチャンスがみつかるはず。Re Made in Japan――大手家電メーカーなどモノづくり企業がキラキラ輝いていたあの時代を、IoTでもう一度取り戻したいです。
岡部 顕宏(おかべ・あきひろ)氏
ノバルス代表取締役
インターネットサービス黎明期にアスキーに入社、 その後ゲームソフト大手スクウェアの新事業子会社にてコンテンツサービスの立ち上げ等を経て、 2002年セイコーインスツルに入社。技術本部 新事業推進部にて国内時計業界初となるBT-Watchの規格策定や電子マネー端末の事業化などを推進。2015年ノバルス創業。
GOOD DESIGN AWARD 2016 グッドデザイン金賞 受賞
KIDS DESIGN AWARD 2016 キッズデザイン優秀賞 受賞