埼玉県は、人口10万人あたりの医師数が、47都道府県中で最下位(47位)です。隣の東京都では人口10万人当たりの医師数は283人。それに対して埼玉県は141人しかいません。実に2倍もの格差があるのです。

 その埼玉県にある「さいたま市立病院」は、120万人が住むさいたま市で唯一の市立病院です。限られた予算と人材(医師数はわずか88名!)の中で、さいたま市における医療の最後の砦として急性疾患を積極的に受け入れ、地域の基幹病院の使命と役割を果たしています。

 救急車の年間受け入れ実績は、約6000台に及びます。消化器の治療で言うと、消化管出血に対する緊急内視鏡治療を、わずか数名のスタッフで年間100件以上行っているのです。これは他に例を見ない件数です。

 今回は、さいたま市立病院が掲げて訴えている「患者の権利」を紹介したいと思います。全国トップクラスの過酷な現場が真摯に訴えるこの呼びかけにこそ、医療崩壊を解決するカギがあるような気がしてならないのです。

さいたま市立病院が考える「患者の権利」とは

 以下はさいたま市立病院のホームページからの引用になります。

 さいたま市立病院は「地域の基幹病院として、患者を尊重し、質の高い医療を提供すること」を理念として、患者様と信頼関係で結ばれた医療を目指しています。さいたま市立病院と患者様が協力して平等で最善の医療を行うことを目指すために、患者の権利について確認します。

・医療を受ける権利

 患者は、一人の人間として平等かつ安全で良質な医療を受けることができる。

・知る権利

 患者は、病名・検査内容・治療内容と危険性、薬の効果と副作用、予想される経過、回復の可能性などについて説明を受けることができる。

・自己決定の権利

 患者は、十分な情報と医療従事者の助言を得たうえで、自己の意思により、検査・治療・看護その他の医療行為に同意、選択あるいは拒否することができる。また、紹介状を請求してセカンドオピニオンを得ることができる。