北朝鮮が「電磁パルス攻撃」で日本を無力化!?
核ミサイル開発に猛進している北朝鮮は、2017年9月、金正恩朝鮮労働党委員長が視察した、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の核弾頭に搭載する新たな「水爆」について、「電磁パルス(EMP)攻撃」まで加えることができると主張した。
米ミサイル専門家は6月、米紙への寄稿で「2004年、北朝鮮がロシアのEMP技術を獲得した事実が米議会の調査を通じて確認された」と指摘し、金正恩政権が最初の攻撃手段として直接的な核ミサイル攻撃より、EMP弾を使う可能性が高いとの見通しを示していた。
EMP弾は、高高度で爆発させるため、大気圏再突入技術の確立を待たずに使用できると見られている。北朝鮮のICBM完成は、大気圏再突入技術の獲得が「最終関門」の1つとされてきたが、この技術なしに実戦に運用できる可能性が高まったのである。
この件は、一般的に「核による高高度電磁パルス(HEMP;High-altitude Electromagnetic Pulse)攻撃」と呼ばれている。このような脅威について予備知識のなかった多くの日本国民は、驚天動地の大事件として強烈な衝撃を受けたに違いない。
核によるHEMP攻撃とは、「高高度(30~400キロ)で核爆発を起こした場合、それにともなって巨大な電磁パルスが発生し、それによって起こる電気・通信電子システムの損壊・破壊効果を利用するもの。
人員の殺傷や建造物の損壊などを伴わずに広範囲にわたる社会インフラを一気に破壊・損傷する核攻撃の一形態」である。
この攻撃は、使用の兆候が掴み難く、また、直接的には人を殺傷しないクリーンなもので、気づいた時には回復困難かつ逃げ場のないブラックアウトの中に閉じ込められてしまうという、われわれがこれまでに経験したことのない新たな核の脅威である。
「電気が止まればすべてが止まる」。近代文明社会を石器時代へ引き戻すほどの、致命的打撃を与えずにはおかない極めて危険な核の応用的使用なのである。
1発のEMP攻撃の破壊効果は極めて大きく、被害を受ける地域は、地上近くでの同規模の核爆発による人員殺傷・建造物破壊を引き起こす範囲よりはるかに広大となる。
具体的には、地上数十キロにおけるEMPが及ぼす被害地域は半径数100キロ、400キロまで打ち上げれば半径2000キロを超える地域が影響を受けるとみられる。