米国でオバマ新政権が発足してから1週間が経過したが、この間、市場で「オバマ期待」相場は不発に終わった感が強い。

 また、景気指標を見ても、27日にコンファレンスボードから発表された米1月の消費者信頼感指数が37.7(前月比▲0.9ポイント)となり、筆者を含む市場の大方の予想に反して2カ月連続で低下し過去最低水準を更新するなど、「オバマ期待」が消費マインドに及ぼしている改善方向の影響も、小さなものにとどまっている。

 市場の期待感が盛り上がりに欠ける背景には、年末年始時点ですでにミニ「オバマ期待」相場が一巡しており、いわば期待を先食いしてしまっているという事情もある。

 だが、筆者の見るところ、「オバマ期待」不発の理由は、より根本的には以下の3つである。

(1)「新大統領就任でも経済の現実に変わりはない」

 

 1月分の米消費マインド指数では、16日に発表されたミシガン大学指数の速報値が61.9(前月比+1.8ポイント)で、内訳では現況が低下する一方、期待が57.2(前月比+3.2ポイント)と上昇していたため、「オバマ期待」が反映されたのではないかと筆者は受け止めていた。

 ところが、すでに述べたように、コンファンレンスボード指数は予想外の低下。しかも、内訳を見ると現況、期待ともに下がっていた。期待の低下は、将来の所得について顕著である。今後6カ月について所得増加を期待する人は10.0%にとどまり、過去最低水準。所得減少を懸念する人も若干減ったが、両者の差である所得DIは▲8.4となり、過去最低を更新した。

 ガソリンなどエネルギー関連の価格がピーク時よりも大幅に低下しており、オバマ新政権がまとまった規模の所得減税を計画しているにもかかわらず所得減少への警戒感がなお強いということは、米国民がそれだけ、将来の賃金減少への警戒感を強く持っているということだろう。

 

 なお、27日に発表された最新週(25日までの週)のABC消費者信頼感指数は▲54となり、前週から1ポイント悪化。昨年12月上旬に記録した過去最低に並んだ。