世界で異色、「あん」抜きには語れない日本の豆料理

消費量減の時代に見直したい、豆の多能性

2017.07.07(Fri)佐藤 成美

 インドの豆のカレーやブラジルのフェジョアーダなど海外にはたくさんの豆料理があるのに、なぜ日本ではあまり豆料理を食べないのだろうか。

フェジョアーダ。ブラジルでは国民食ともされ、黒いインゲン豆を、肉などとともに煮込んだものが食べられている。

栄養の供給源として重宝されてきた

 豆類は育てやすく保存性がよいため、古くから世界中で栽培されており、食用の豆は70~80種類もある。豆類はタンパク質や脂質、ミネラルなどの栄養分を豊富に含むので、デンプンを多く含む主食の穀物との組み合わせで、たくさん食べられてきた。世界でいちばん豆類を食べている国はインドだ。インドのヒンズー教徒にはベジタリアンが多いため、豆類は大切なタンパク質の供給源となっている。

 一方で豆類は、種類ごとに成分や量に違いはあるものの有毒成分を含むので、生で食べることはできない。また、乾燥した豆は硬くて調理しにくく、消化が悪い。これらは豆の難点だ。そのため、比較的調理しやすい豆が広まり、加工や調理方法が工夫されてきた。

 日本で主に栽培されているのは大豆、インゲン豆、小豆、エンドウ豆など8種類で、中でもタンパク質や脂質を多く含む大豆が食生活を支えてきた。

 大豆は2000年ほど前に、中国から伝来したもの。仏教伝来とともに肉食忌避が強まると、タンパク質供給源として重宝された。また、豆腐や納豆、みそやしょうゆなどの加工技術が発達したため、広く利用されるようになった。江戸時代ではさまざまな豆腐料理が紹介された『豆腐百珍』が出版されるほど、食卓の花形だった。

 小豆は1700年ほど前、またインゲン豆は350年ほど前にいずれも中国から伝来したと考えられている。ただし、近年の研究では小豆の起源は日本であるという説も有力になっている。これらの豆はデンプン質だ。栄養価の高い大豆の栽培は全国に広まったが、これらの豆は地域ごとに風土にあった品種として栽培され、地域ごとの調理法で食べられてきた。

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