韓国の文在寅(ムン・ジェイン)新大統領の登場が日韓関係に深刻な影響を与えることは明白である。文政権は、間違いなく朴槿恵政権よりも厳しく否定的な態度で日本に接するであろう。その反日の姿勢は日韓関係をどう変えていくのか。
当面の問題は、日韓両国外相の慰安婦問題をめぐる合意がどうなるかだろう。
2015年の日韓外相会談で取り交わされた合意で、両国政府は長年の慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。もう問題は終わったとする公式の合意である。だが文政権はこの合意を反故にする態度を見せ始めている。主権国家同士が結んだ公式の約束をあっさりと否定し、なかったことにしようというのだ。
国家間の合意より「自国民の情緒」を優先
文氏は大統領選挙中からこの合意を認めず、再交渉を主張していた。政権発足後に日本に特使として送られた与党の文喜相議員は5月20日、日韓慰安婦合意は「韓国国民の大多数が情緒的に受け入れられないと日本側に明確に伝えた」と言明した。
文議員のこの言葉は象徴的である。新政権が日本への公約よりも「自国民の情緒」を優先させるという姿勢を堂々と示したのだ。