先住民マオリ崇拝の川に「法的人格」認める、ニュージーランド

ニュージーランドのワンガヌイ川を先住民マオリ伝統のカヌー「ワカ」で下る英王室のヘンリー王子(右から2人目、2015年5月14日撮影)〔AFPBB News

 「老人があふれ、成長なき衰退一途の日本から海外に脱出せよ!」――。

 移住の成功例やメリットを紹介した海外脱出関連の出版物や、最近では、タレントのGACKTがマレーシアでの金満な移住生活をメディアで暴露するなど、海外移住がいつになく脚光を浴びている。

 そんな人気を反映するかのように、外務省発表の「海外在留邦人数調査統計」(2015年末現在)では、在留邦人の約4割の約46万人(前年比約2万600人増、同約5%増)が海外「永住者」という。

 さらに、過去5年間で、諸外国での永住者数は「約15%増」と、日本人の海外脱出は”活況 ”のようだ。

日本人に大人気のニュージーランド移住

 日本人永住者の中でも、ニュージーランドは、米国をトップとしてランクインする上位10位中、前年比で最高の約10%増を記録。アジアで人気のシンガポール(約2400人、前年比約7%増)やマレーシア(約1500人、同約5%増)をはるかに超える「約9700人」を数え、知る人ぞ知る「日本人の大人気永住先」である。

 しかし、ここ最近、異変が起きている。

 米国人の米国離れが加速化し、米国人のニュージーランドへの移住が急増。英語を母国語とし、資金力も潤沢な米国人富裕層の流入で、不動産や家賃の高騰、さらに日本人など非英語圏移住希望者や現地の同出身者に対する雇用環境が厳しくなるとの予測から、移住先を他国に変更したり、日本へ帰国する動きが出てきている。

 ニュージーランド内務省によると、米国のトランプ政権誕生後のここ100日間の米国人のニュージーランドでの市民権申請数が、前年同期比の約70%増と記録的な拡大となっている。

 さらに就労ビザ申請も約20%増で、ニュージーランド政府の移民関連公式サイトは、米大統領選後、米国からのアクセスが約10倍増の4000件を超える記録だという。

 もともとニュージーランドは英語圏からの移住先で大人気の国。最も知られる移住者は、世界最大のヘッジファンドとされた「タイガー・マネージメント」創業者、米国人の投資家、ジュリアン・ロバートソン氏だが、2016年に米国人が購入した不動産案件では、ニュージーランドがオーストラリアに次いで多かった。

 それではなぜ、外国人はニュージーランドへの移住を目指すのか?