もちろん他の観点からの検討点もあるが、テレワークを導入すべきかどうかを判断するには、総務部門がどのような組織(サービス提供部門)を目指すのかが関係してくる。

 最近でも宅配便を提供する運輸会社における一部の時間指定サービスの廃止は、組織としてのサービスのあり方、目指す姿を改めて考える一例である。

 次に、組織の目指す姿を実現するために必要な人材像を考える。具体的には経営・事業戦略を実現するために必要な人材ポートフォリオを描く。例えば、下の図は開発職の人材ポートフォリオ例である。各人材は事業推進にそれぞれ必要であり、求められる働き方もそれぞれ変わってくる。

開発職の人材ポートフォリオ例

 ここでは、ビジネス・オリエンテッド(事業起点)で発想する。働き方改革やダイバーシティの推進は経営・事業戦略の実現に沿って行わなければ、それ自体が目的になってしまう。働き方改革も生産性向上を意識しながら、事業起点で発想することが求められる。そのため経営・事業環境の変化には留意しておく必要がある。

 目指す組織や人材像の明確化は事業そのものの検討でもあるので、議論を突き詰めると時間がかかる。最低限、組織として何を目指すのか、何を大事にするのかという考え、価値観は組織メンバー間でしっかりと確認、共有しておきたい。

【2】 目指す働き方像の明確化

 目指す組織・人材像を確認し終えたら、その実現に向けてどのような働き方が良いかを考える。その際には、第1回(「会社が働き方を変える前に必ずやっておくべきこと」)で示した全体像の以下の観点から目指す働き方を検討する。