カッシーニの撮影した土星。このように土星の影がリングに落ちる様子は地球からでは撮影できない。北極の六角形の模様が見える。 Photo by NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 先日2017年4月14日、NASAは土星の衛星「エンケラドス」に、生命がエネルギー源として利用可能な化学反応が存在すると発表しました。エンケラドスの氷の下には、地球の海底にも似た生態系が広がっているかもしれません。

 これを明らかにした土星探査機「カッシーニ」は、20年前に打ち上げられて以来、稼働を続けているベテラン機です。

 そして来る2017年9月17日、カッシーニは最期の任務「グランドフィナーレ」を予定しています。土星の大気に突入し、観測データを取得し、燃え尽きるというものです。

 ここでカッシーニの20年の成果と、明らかになった土星と衛星の姿について振り返りましょう。

土星:リングを持つ巨大ガス惑星

土星の北極の六角形の模様。 Photo by NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 土星はリングを持つことで知られる太陽系の第6惑星です。太陽からの距離は約14億kmで、地球からの距離もだいたいこれくらいです。これは光の速さで1時間20分かかる距離です。つまり、カッシーニの測定データも地球のアンテナに届くまでこれだけかかります。

 土星は木星の次に巨大な惑星で、地球の764倍の体積を持ちます。しかし主成分は水素とヘリウムで、質量は地球の100倍弱しかありません。しばしば「水に浮く」と説明されます。木星と同じ「巨大ガス惑星」の仲間です。

 土星の自転周期は半日足らずです。巨大なガス体(内部は液体)がこのような高速回転をしているため、土星の気候は常に超音速でジェット気流が吹き海流が轟々流れる大変な状態になっています。