貿易不均衡をめぐる米中交渉が長期戦の様相を呈してきた。4月7日に行われた米中首脳会談は、貿易不均衡の是正に向けた「100日計画」について合意したことを除いて目立った成果はなかった。
トランプ米大統領は首脳会談後、ツイッターで「北朝鮮問題に関して中国が協力すれば通商交渉が有利になる」と発言しており、通商問題と北朝鮮問題とセットにすることで交渉を有利に進めようとしている。一方、「(通商問題については)時間をかけて解決していく」との発言も行っており、中国側に多少の逃げ道も用意した格好だ。トランプ流のパッケージディールは効果を発揮するのだろうか。
カギとなるのは「時間」と「北朝鮮問題」
トランプ大統領と習近平国家主席は2017年4月7日、フロリダ州パームビーチで首脳会談を行った。トランプ政権は貿易不均衡の是正を最重要課題の1つと位置付けている。トランプ氏は中国の通商政策に対して何度も批判しており、今回の首脳会談では激しいやり取りが行われるとの予想も多かった。だが意外にもトランプ氏は中国に対してソフトに接し、とりあえずは両国の友好関係をアピールするという形で会談は終了した。
だがトランプ氏は中国に対する強硬姿勢を全面的に撤回したわけではない。トランプ氏はこれまでのビジネスで培った経験を生かし、得意の交渉術で通商問題を解決しようとしている。カギになるのは「時間」と「北朝鮮問題」の2つである。
2016年における米国の貿易収支は約5000億ドル(約55兆円)の赤字となっており、このうち対中国の赤字は6割を占めている。だが貿易赤字というのは供給を上回る需要が存在することで発生しており、経済学的に見ると単純な損得の問題ではない。財政赤字や設備投資の水準とも密接に関係しており、現在、主流となっている学説では、単純に貿易赤字を減らせばよいという結論にはならない(貯蓄投資バランス論)。