赤身、白身、イカ、貝~ネタの食感にはワケがある

歯ごたえで味わう握りずしの魅力

2017.04.07(Fri)佐藤 成美

 表面が黒い色の「トリガイ」は通常ボイルして食べる。加熱すると、コラーゲンが変性して、口に入れたとき噛み切りやすくなる。「1年を通して食べられる貝ですが、旬の夏だけは生で食べます。硬くてコリコリとしていますが、貝のもつアミノ酸に由来する甘味が感じられ、通が好みます。生のトリガイの黒い色は夏の風物詩としても楽しまれています」。

左から赤貝、鳥貝の握りずし。

シャリやノリも使い分け

 こうした工夫は、ネタばかりでなくシャリやノリにも見られる。シャリは、新米では水分が多いので、わざと米を寝かせて古米にしておく。そして、水分の少ない古米に新米を混ぜて、好みの硬さにしているのだ。

 ノリの硬さや色は、産地や季節で変わる。そこで、すし職人は巻きずし用、軍艦巻き用など、ノリを使い分けている。ノリをさっとあぶるのは、色が鮮やかになるためと、熱でノリの構造がゆるんで食べやすく、またノリ本来の甘みや香りが出やすくなるためだという。

 魚介類ばかりでなく、シャリの硬さやノリの歯切れも加わり、私たちは無意識のうちに、すしでさまざまな食感の違いを楽しんでいたことに気づかされる。

 握りずしの工夫はもともと、腐りやすい魚を腐りにくくするために編み出されたものだった。徐々に、それが魚をよりおいしく食べるための技へと進化していたのだろう。

 春は貝の旬である。寿司屋のカウンターは敷居が高いかもしれないが、回転ずしもある。貝ネタをはじめ、さまざまな握りずしを楽しんでみたい。

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