赤身、白身、イカ、貝~ネタの食感にはワケがある

歯ごたえで味わう握りずしの魅力

2017.04.07(Fri)佐藤 成美

 とはいえ、江戸時代の握りずしは、現在のものとだいぶ変わっていた。1貫はおにぎりほどもある大きなもので、よく食べられていたネタは、小肌や白魚、アワビ、卵焼きなどだった。マグロはあまり使われず、天保年間(1830~1844)末に「ヅケ」が考案されてから普及したといわれる。

赤身は厚く、白身は薄く

 握りずしは、マグロなどの赤身の魚とタイなどの白身の魚、イカやタコの頭足類、エビなどの甲殻類に貝類と、さまざまな魚介類が組み合わされている。握りずしには多種類の魚介類が使われているため、味や色などバラエティに富んでいる。すしネタの人気ランキングなどを見ると、現在はサーモンやマグロ、イクラなどに人気がある。

赤身に白身にイカなど。ネタ次第で食感は大きく異なってくる。

 こうした豊かな魚の持ち味に加え、私たちを引き付けるすしの味わいはどんなところから広がるのだろう。水産食品の物性を研究する東京海洋大学名誉教授の小川廣男氏にうかがった。

「煮アナゴの人気も高まっており、最近はやわらかいネタが好まれているようです。貝の人気が減っているようですが、握りずしのおいしさには、魚の他に、貝類などが加わることでさまざまな食感が楽しめるところにもあります」

 魚介類に食べなれている日本人は、魚介類による食感の違いも敏感に感じ取り、楽しんできた。

 私たちが食べているのは魚介類の筋肉の部分だ。筋肉は筋原線維が束になって構成されている。筋原線維を束ねているのは「筋膜」で、コラーゲンやエラスチンというタンパク質からなる。この筋肉の組織構造が歯ごたえを生み出す。

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