先日、サムライジャパンの終戦を見届けた。
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)本選前、プレミア12(12カ国のチームで争う国際大会)での敗戦と他国の代表と行われた強化試合を見ていて、小久保監督の采配も含め「こりゃダメだな」と期待はしぼんでいった。だが、本選の日本ラウンドが始まると、戦うごとに選手たちは強さと団結を増してゆき、こちらもいつの間にか引き込まれて、一戦、一戦、手に汗を握りながらテレビの前で応援した。
高いレベルにある選手たちの「必死」な野球はやはり面白く、マンネリ気味のペナントでは得られない興奮を覚えた。それだけに準決勝のアメリカ戦での惜敗は残念だったが、とても魅力的な“チーム“になったなと、悔しさよりも誇らしいような気持になった。
だが、実際にプレーした選手たちは、やはり悔しそうだった。敗戦後に呆然とグラウンドを見つめる選手たちは、胸中で何を思っていただろう。
必死の野球からしか、そして必死の野球による敗戦からしか学べないものがある。もしかしたら選手たちは、甲子園を目指したあの頃を思い出していたのかもしれない。すぐには気持ちを切り替えられないだろうが、国際的な舞台を経験しなければ得られなかった「世界のレベル」を肌で感じ、自分に足りなかったものをどうやって手に入れてゆくかという目的意識を持つ貴重な機会となったことだろう。