キラウエア火山の溶岩流で民家が焼失、米ハワイ

米ハワイ(Hawaii)州ハワイ島のパホア(Pahoa)に新たに流れ込んだキラウエア(Kilauea)火山の溶岩流(2014年11月9日撮影)〔AFPBB News

 新しい年度を迎え、大学のキャンパスにはフレッシュマンたちがあふれ、新たに社会に出る人々も期待(ならびに一抹の不安もあるでしょう)に胸を膨らませていると思います。

 毎年私が教室で大学1年生たちに言うのは、特に現役で合格した諸君には、おめでとう、と同時に、人生の中で貴重な「修復可能な失敗」の1つ、浪人という経験をしなかったのはちょっと残念かもしれない、というポイントです。

 よろず学校は「失敗」を覚えた方がいいところだ、という話もします。東京大学の場合、科類によっては、1年生から優を並べないと進学できない学科があり、実際私自身も教養学部在学中はそうした点取り虫の優等生を演じました。

 しかし、はたしてそれが良かったどうか、疑問も少なくない、といったことを正直に話します。

 学生諸君は「失敗は良くないこと、成功が良いこと」と思い込んでいますが、学生時代の失敗はよほどのことがない限り、その後の人生キャリアに特段の影響を及ぼしません。

 翻って入社後の失敗は、仮に決意を持って行ったものでも、後々に尾を引きます。

 例えば私は34歳で東大に呼ばれた当初、それなりに鳴り物もありホープ扱いでしたが、上にいた人物に「立派な組織人にしてあげましょう」と言われ「結構です。生涯一音楽人ですので」と袖にしたところ、18年経って50歳を過ぎても助教授のままに据え置かれ、完全に「出世コース」からは外れました(苦笑)。

 まあその代わり、雑務はミニマムに抑えられ、欧州や米国でのライフワークなど、30~40代のすべてをもっぱら私自身にとって大切な仕事に集中できたので、別段後悔はしていません。

 このあたりは反骨の先輩である金子兜太さんと呵呵大笑で歓談するところですが、とかく仕事に入ってからの「失敗」は、下手すると組織に属している間中、尾を引きます。