ギャング抗争、学校が「最前線」 中米ホンジュラス

ホンジュラスの首都テグシガルパ北部にあるマクシミリアノ・サガストゥメ校を警備する憲兵たち〔AFPBB News

 今回は最初にフレッシュマン向けに本のご紹介から始めたいと思います。矢原徹一さんの新著『決断科学のすすめ』(文一総合出版)です。

 本当はもう1つ、私もコラボレーションさせていただいたCDブック『存在者 金子兜太』(黒田杏子編著・藤原書店)もご紹介したいのですが、これは回を改めましょう。

 新入生、新入社員などフレッシュマン向けの『決断のススメ』から始めて、次いで21世紀日本の義務教育に、小中学校の剣道で禁止されている「突き」を主な攻撃法とする「銃剣術」がいかに不向き、かつ不釣合いで時代外れであるかという例から「決断力の誤り」について考えてみたいと思います。

 実は矢原さんの『決断科学のすすめ』は、このJBpressに記された連載をまとめ加筆してできた1冊です。

 逆に言えば、矢原さんは(また、私もそうですが)書籍として長く残るものとして通用する内容を、毎回のネット連載で、初出の際にはほとんどフリーで、またビューが伸びても別段稿料に変化があるわけでもなく(苦笑)しっかりした内容を入稿し続けておられるということです。

 ここは大事なポイントです。

 ジャーナリストであれば取材してきた情報の鮮度と正確さが重要になりますが、私たち大学教員、学識経験者とか文化人といったグループに分類される筆者による原稿は、鬼面人を驚かすスクープであるより、じっくりと読んで読ませて深く納得させ、また5年後10年後に読んでもやはり感銘を与えるような内容であることが重要です。

 (このあたりを誤解されると、残念なことになります。筆者が文体を持って書いているエッセーに「この記者は要領を得ていない」とか筋違いなコメントを書く失礼なケースも目にしますが、記者ではなく音楽屋が書いているのですから。そもそもの前提が違ってますよ)

 何らかの道の専門家が書く原稿には、単に取材に行っただけというジャーナリストでは決して書けない奥行きや深さ、意味内容が含まれている。それを受け取って始めて読んでいることになる。

 テレビは瞬間芸で終わるメディアに成り果てましたが、ネットは自由に見返すことができますから、読者性善説に立って専門家が深読みOKの情報を発信することができる。

 JBpressはそういう専門家を筆者陣に擁する贅沢なメディアです。矢原先生の新著も、九州大学「持続可能な社会を拓く決断科学大学院プログラム」のエッセンスを連載という形で敷衍し、さらに加筆・編集して1冊にまとめられています。ぜひ「1粒で2度おいしい」知の贅沢をお愉しみいただければと思います。