ロシアのクリミア編入から3年、記念行事の盛り上がりは控えめ

ロシアのクリミア編入から3年を迎え、港湾都市セバストポリで行われた記念行事の様子(2017年3月18日撮影)〔AFPBB News

 ウクライナとロシアの関係が再び急速に悪化している。3年前にロシアがクリミアを併合してから、ウクライナ東部地域における対立はミンスク合意以降、小康状態にあったかに見えた。

 しかしながら、特に2017年に入って戦闘が激化し多数の死傷者が出てミンスク合意は事実上反故にされているほか、様々な形の対立が進んでいる。

 まずは文化面での対立だ。

 欧州最大の音楽イベント、「ユーロ・ヴィジョン・ソング・コンテスト2017」はウクライナで開催されることになっている。

 しかし、ロシアを代表する歌手でソチ・パラリンピック大会開会式でも車椅子から美声を披露したユーリヤ・サモイロワさんがクリミア併合を祝う席で歌ったことを理由に、ウクライナが参加拒否の姿勢を示している。

コンクリートで封鎖されたロシア資本の銀行

 さらに経済面での対立としては、先週、ウクライナ・ズベルバンクのキエフ支店前の玄関が、ウクライナ民族主義派によりコンクリートとセメントで文字通り封鎖されるという事件が発生した。

 その実力行使の様子は映像で見ることができる。ロシアとウクライナの対立の根深さを象徴するものだ。

 ズベルバンクとはロシア最大の国営銀行であり、ウクライナ・ズベルバンクは、その100%出資子会社である。ロシアの金融機関であるという理由で民族主義派らの憎悪の標的となった。

 民族主義派の過激行動は1店舗に限らず、他の多くの地域で同行のATMが破壊されたほか、同じくロシア系の金融機関であるアルファ・バンクのシャッターや壁などにペンキで落書きがされるなどの破壊行為が報告されている。

 これは、2017年2月18日付の大統領令でウラジミール・プーチン露大統領が親ロシア派の占領しているルガンスク、ドネツク地域で親ロシア自治政府が発効したパスポートを身分保障書類として公式に認めるよう要請したことに端を発する。

 ウクライナ・ズベルバンクはこの要請を受け入れたとされ、東部ウクライナでの独立に強く反対する民族主義派らの反発を招いた。

 ウクライナ・ズベルバンクによれば、3月9日にこの要請受け入れを撤回すると表明していた。14日からキエフ支店での営業が停止されたほか、翌15日から個人普通口座からの現金引き出し額を3万グリブナ(約1120ドル)までに引き下げている。

 これに関連して3月15日には、ウクライナ国家安全防衛会議でロシア国家資本が入っている銀行のウクライナ国内における営業停止を求める決定がなされた。