【連載第5回】
鞄や家具などのものづくり、ファッションやオペラなどの文化。歴史的建造物が連なる町並みや穏やかな農村。国のいたるところに文化と産業が息づく町があるイタリア。国家財政・社会情勢が悪化する中、なぜイタリアの地方都市は活気に満ちているのか。イタリアに日本の課題「地方創生」解決のヒントを探る。
(前回の記事「日本/イタリアを比べて考える、デザイナーと零細企業の地位」はこちら
多様なクラスターが伝統の産業を支えている
ここからは、各都市がどのような手腕で地場産業を成功に導いているのか、具体的な例を見ていきましょう。
ボローニャには、「パッケージングバレー」と名がつくほど包装機械産業に従事する企業が数多く集まるエリアがあり、包装機械の産地として輸出も積極的に行っています。
地方都市から世界のマーケットへ・・・と言っても、必ずしも世界を視野にマーケティングできる人が多くいるというわけではありません。
ボローニャのパッケージングバレーには実は「コーディネーター企業」というものが存在し、市販部品、特殊部品、部品加工、組み立て、制御調整など各分野を担う企業を取りまとめて、世界市場の窓口としての重要な役割を果たしています(図-20)。
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