2月13日にマレーシアで金正男が暗殺された事件で、同月27日、韓国の情報機関「国家情報院」は、犯行を行ったのは軍の「偵察総局」ではなく、「国家保衛省」で、そこに北朝鮮外務省が協力したとの見解を公表した。北朝鮮の工作機関について最も情報を持っているのは韓国の情報機関だから、現時点ではその可能性がきわめて高いと判断していいだろう。
現在、海外で破壊工作を実施できる北朝鮮の組織は、この偵察総局と国家保衛省の2つである。前者は諜報活動や破壊工作を担当する情報機関で、後者は反乱分子を摘発する秘密警察である。
国家保衛省はもともと北朝鮮国内での秘密警察活動と、海外での北朝鮮外交官の監視などが主任務だったが、近年は脱北者追跡の役割が増えており、それに従って脱北者の多い中国東北部、東南アジア、さらには韓国内での秘密活動が強化されている。こうしたエリアでの暗殺などのダーティワークは、近年は偵察総局よりも、むしろ国家保衛省が主力になってきている。
工作員が脱北者を追跡・処刑
ただし、報道されているイメージのように、暗殺を常日頃から実行しているかというと、それほどでもない。今回の金正男暗殺のような大規模な作戦は、おそらく初のことだ。