北朝鮮、ミサイル発射に失敗=演習けん制、「ムスダン」か-国連で提起へ・米

北朝鮮のムスダン級ミサイル(2012年4月15日撮影、資料写真)。(c)AFP/Ed Jones〔AFPBB News

 10月15日、北朝鮮は中距離弾道ミサイル「ムスダン」を発射したが、発射直後に爆発した。失敗に終わったわけである。

 これより先、北朝鮮では豊渓里の核実験場や、東倉里の西海衛星発射場、元山のミサイル部隊基地での特異な動きが報告されていた。そのため、新たな核実験、もしくはミサイル発射実験が行われる可能性が高いと目されていた。

 今回のムスダン発射実験は、それらの警戒されていた場所ではなく、西部の亀城近郊からの発射だった。ムスダンは専用の自走発射機(TEL)に搭載されており、北朝鮮のどこからでも奇襲的に発射できるが、今回はそういった運用手順の確認も兼ねての発射実験だったものと思われる。

 今回は失敗に終わったが、それで止めることはあるまい。今後、失敗の原因解明が急ピッチで進められ、改良され次第、再発射となるだろう。

「実験」は記念日に行われる?

 ところで、前述したように今回は、核かミサイルの実験を近々やるだろうと警戒されていたが、その実施日については、前々から10月10日の可能性が指摘されてきた。朝鮮労働党の創立記念日にあたるからだ。

 北朝鮮がいつ核やミサイルの実験を実施するかというのは、最終的には金正恩の判断なので事前予測は困難なのだが、「記念日に行われるだろう」という見方がある。国の記念日に大きな軍事行動を実施することは、国内で金正恩の威厳を示すデモンストレーションになるからというのが、その論拠である。

 たしかに、前例がある。2012年4月の金日成生誕100周年の記念イベントがそれだ。その時は大々的に「衛星打ち上げ」を事前宣伝したうえで、同月13日に実際にロケット(テポドン2改と同じもの)を発射した。結果的にその打ち上げは失敗ではあったが、その時にロケット打ち上げを試みたのは、疑いなく金正恩政権の威厳を示す意図があった。