2月12日、北朝鮮の金正男氏がマレーシアの空港で暗殺された。
この事件の裏には米国の新たな作戦の影響があったという観測がワシントンで広がっている。つまり、米国が同氏を北朝鮮の次期指導者として擁立し、金正恩政権を打倒しようとする計画が今回の暗殺につながったというのだ。この作戦は、米国の著名な軍事専門記者、ビル・ガーツ氏によって提示された。
金正男氏を最高指導者に
今年1月はじめ、ビル・ガーツ氏は『情報技術戦争=情報時代の戦争と平和』(サイモン・アンド・シュースター社刊)という書籍を刊行した。ガーツ氏はワシントンで長年、軍事、安全保障の専門記者として活動し、とくにトランプ政権を含む共和党歴代政権との距離が近い人物である。
同書の中でガーツ氏は、北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの開発、人権弾圧などの諸問題を解決するには「レジームチェンジ(政権変更)」しかないとして、米国がそれを実現するための作戦の骨子を以下のように述べていた。
・米国にとって最も望ましい対北朝鮮政策は、金政権の崩壊、あるいは打倒によってレジームチェンジを実現することである。その方法としては、できるだけ数多くのパソコンやスマホなどの電子通信機器を外部から北朝鮮国民に与えて情報ネットワークを作り、金正恩政権の非道な弾圧の実態を広め、政権打倒の動きを団結させ強化させることが求められる。