今回はまず最初に、もしフランス大統領選挙でルペン候補が選ばれ、右派「国民戦線」(FN)が政権を取ってしまった場合に起こり得るリスクを、ざっくりと考えてみたいと思います。
もし、フランスでEU離脱派が投票で過半を制した場合、昨年6月の英国EU離脱とは別種のリスクが国際経済、金融を直撃すると考えられます。
フランスのEU離脱とユーロからの脱落は、第2のグローバル通貨ユーロの信用を脅かすのみならず「古くて新しい地域通貨」フランの再登場による多大な混乱を巻き起こすリスクを検討せねばならないでしょう。
これについては、ここでコラムに記す以前に、数理モデルの組み立てや各種シミュレーションなど、別途の取り組みが大学で進んでいるので、詳細は別論を準備したいと思います。
ただ間違いなく言えることは、これらの混乱は日本にとって円高への推移として作用するだろう見通しです。
リベラルだ極右だ極左だ、といった議論をここで私はしていません。もっと突き放した現実を考えましょう。
欧州経済が混乱すれば間違いなくユーロも「復活フラン」もベースは安値となり、詳細は予測できませんが、大局的に円高に向かう可能性が高いと考えて外れないはずです。
米国ではドナルド・トランプ大統領就任後、ひとまずのドル高が観測されますが、先行きは不透明です。しかし欧州の通過混乱は、基本的に円高をもたらすと考えてあらかじめ対策を検討しておくべきです。
対外的には輸出にダメージが広がり、国内的にはデフレが続く。爆買い観光客などは減り、外貨で預金を持つ人は財が目減りします。
まずもって円高で予想されるリスクへの手当てを念頭に、対岸の火事と思わず、欧州政局を見るのが賢明と言わざるを得ません。実は歴史に先行事例があるからです。