「訪日外国人がどんどん増えれば日本経済も潤う」──多くの人はそう考えているはずだ。だが、現実は必ずしもそうではない。
日本のインバウンドビジネスで目に付くのは、むしろ外国人の非正規事業者の暗躍だ。特に「通訳ガイド」業界では、中国人の非正規ガイドが正規の有資格者を圧迫している。
悪名高い「観光ガイド」会社
九州に拠点を持つ中国資本のA社という会社がある。A社の主な事業は食品加工だが、近年、インバウンドビジネスに乗り出すようになった。中国人社長をはじめ日本語を話せる社員たちが、日本を訪れる中国人客の観光ガイド役を買って出ている。ただし、観光ガイドとは名ばかりで、やっているのは中国人客を地元の悪徳免税店に誘導することだ。
「免税店に連れて行くだけで、彼らの月の売上は軽く1000万円を超えるんですよ。おかしいですよね」
地元の旅行代理店で管理職に就く森川徹さん(仮名)がこう語る。地元のインバウンド事業者の間で、このA社は悪名高い存在なのだという。